日本昆虫協会
にほんこんちゅうきょうかい Japan Insect Association

〒113-0022 東京都文京区千駄木5-46-6「虫の詩人の館」内
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2002年度日本昆虫協会総会議事


梅田:これより2002年度日本昆虫協会総会を開催します。では当会会長奥本大三郎より開会の挨拶をお願いいたします。

奥本: 皆さんこんにちは。
 こういう決まった会がありますと一年が如何に早いか、痛感させられますね。ついこの前ここでご挨拶したと思ったのにもう今年の総会です。光陰矢のごとしといいますか、時間の経つのが早くてあきれてしまいます。小学生、幼稚園の時の夏休みは長かったですけども、だんだんと歳を取るとあっという間に時間が経って、いやになってしまいます。
 去年も同じことを言ったかもしれませんが昆虫協会のほかにNPOの「日本アンリファーブル会」というのを造っていまして、なぜそのアンリファーブル会をやるかといいますと、昆虫協会の場合は、いろんな目標を立てたんですけども、博物館の建設という方向になかなか行かない。今一番うまくいっているのが「夏休み研究大賞」と「採集・観察会」だと思うんです。
 我々虫屋は細かい事務とか雑務とかやるのが嫌だから虫やってるわけで、そんな人たちが集まってもなかなかうまくいかない。いろいろ考えていたときに平和出版という出版社の井上さんという会長さんから話がありました。自分たちが歳を取って、子供たちに日本の昆虫採集などを始めとする自然愛好の文化を伝えていきたいという趣旨は同じだというので、いろんな細かい雑用を引き受けてくださった。実際にやり始めますと、役所の人だとか政治家だとか、それからいろいろな会社の人だとか細かい付き合とか雑用とかが山ほど出てきます。そういうことをその会社の人が手伝ってくださってとても助かっております。
 そのうちに、信州の佐久市の市長さんの三浦大助という方がいらっしゃるんですが、佐久と御代田という町とそれからもうひとつ別の村が一緒になる。そこに日本一の博物館を作ろうといってくださったんですね。今、佐久市にスキー場があるんですが、バブルの時期にスキー場を作って、人工雪を降らせてすべる。ところがバブルがはじけたり、少子化してお客さんが減ってくると、人工雪を降らしても南側の斜面に日が当たるとあっという間に雪が溶けてしまうので、採算が取れない。100万坪くらいあるんですけれども、それを子供たちに開放してもいいというお話が来たんです。昭和25年頃から信州などの山にはかなりの部分に一生懸命カラマツを植えたんですね。それまでの広葉樹を伐ってカラマツを植えた。天然のカラマツは、用材としてとてもいいものなんだそうですが、植林したカラマツは早く育つんだけど、弱いしヤニがいっぱい出て、建築用材や家具の材料としてはあまり適さないみたいです。人の植えたカラマツをぎゅっと圧縮して油を抜けば大変いい用材になるのだそうですけども、そうするとすごいお金がかかってしまう。
 カラマツの林はおいしい実がなるわけでもなく葉っぱがおいしいわけでもないので、チョウも甲虫もおりません。鳥もいません。北原白秋は美しい詩を作ったんですけども、実際のカラマツの林というのは本当にサイレントスプリングといいますか、静かでまったく何の音もしない生き物の気配もない林になってしまうんですね。昔、広葉樹の林があると、山鳥だとか雉だとか鹿だとか猪だとか、そういうものがたくさんいた林がスギ、ヒノキ、カラマツだけ植林すると四十雀もいない林になってしまいます。
 だから佐久市その山のカラマツを伐って、エノキだとかクヌギだとか、いろんな虫が来る木をもう一度植える。そして子供たちをつれてきて「どんどん虫を採ってもかまいません」とい風にする。同時にそのスキー場にレストランがありまして、スキー場が不振なのでレストランも思わしくない。そこで小さい博物館を作って、とりあえず何かを子供向けに展示しようという話がありました。
 しかし、実際にやり始めると、いろいろお金もかかります。もともと日本には昆虫の標本なんかは無料という感覚があるんですね。それが焼き物だとか、絵だとか、人間の作った工芸品だと無料という風には多分言わないと思うんですけども、日本人の中にやはり伝統的に人間の作ったものは有料だけども天然のものは無料って言う感覚がやはりあるんじゃないでしょうか。
 幕末に田中芳男と町田久成という二人の侍がロンドンとパリに行きました。二人は主としてパリの動物園・植物園だとか博物館を見てきました。町田久成のほうは人間の作ったものの博物館を作ったんです。それは東京国立博物館なんかにあって、日本の博物館の基本の形になってる。それはどんどん発展していきました。それだってルーブルや大英博物館に比べるとそんなに立派なものではありませんけども、それにしても、絵だとか焼き物、工芸品、そういう博物館は発展していきますけれども自然史博物館に関して言うとずーっとだめです。東京の国立科学博物館なんか、はっきり申し上げて世界中の大英博物館、スミソニアン、パリの博物館と比べるともう月とすっぽんという感じでですね。「どこに出しても恥ずかしい」というか。貧弱なものです。それはですね、ひとつに言えば帝国主義というのと関係があると思います。ヨーロッパの場合は18、19世紀のころから軍艦に軍人と宣教師、絵描き。今で言えばカメラマンですね。それから学者などを乗せていって、いろんな所を探検します。マダガスカルでもインドネシアの島でもまだ地図に載っていないところがあると「ここは国王陛下の領地」「女王陛下の領地」として旗を立てちゃうんですね。「新大陸発見」といっても、そこに人は住んでたんです。発見も何も、そこにいた人ははじめから知ってるんですけども、ヨーロッパ人としては発見なんです。われわれもヨーロッパに行って「発見」したらよかったんですけれど、裏付けとなる武力がありませんからね。そういう帝国主義というものがあって、ヨーロッパに立派な博物館ができた。いまだに生物資源、鉱物資源というものに関して彼らは敏感で、大事にするし、その所有権もちゃんと主張します。それはいずれどんなに金を生むのかということをよく知ってるわけですからその点において非常に意識的ですね。
 日本人がアジア諸国を侵略したと言われますけれども、一般に日本人が帝国主義にある程度目覚めたのは昭和十何年、戦争の末期くらいですね。その生物資源について本当にわかり始めたのは。博物館もはっきり言えばそういうものの研究所、資料集積場として国が管理するものだったんです。もっと前の17・18世紀の頃は、大金持ちとか王侯貴族が珍しいものをコレクションして、人をびっくりさせる「驚きの部屋」とか言いますけれども、そういうものから始まったんです。国が管理するようになるとだんだん帝国主義と結び付いてきた。日本の場合はあまりそういう意図も無く、特に自然物に関しては幕末に大名や金持ちの商人などが珍しいものを持ち寄って、皆に見せ合ったりしましたが、その程度のことが続いてきたに過ぎません。
 日本の場合は、たとえば昆虫の標本を箱に入れておいてもすぐ虫に食われたりすることもあったでしょう。ですから、虫譜と言って、虫の絵を写生する。写し終わった虫は、それを紙に包んでおいてもどうせ虫に食われるから、穴を掘って埋め、虫塚を作ったんです。
 そのようなことしかなかったんですけども、昆虫の標本もちゃんと光を避け、湿気を60%くらいに保って、防虫剤を入れておけば、200〜300年以上保つということがわかってきたんですね。ですから我々としては、今、団塊の世代といわれる人たちを中心として私たちの集めた昆虫の標本は大英博物館より大量にあります。大型美麗種に関して言えばですよ。ほんのちいさなものやタイプ標本だったらまったく問題になりませんけれども、民間にある標本は大英博物館に負けないくらい。東南アジアのチョウにクワガタなんか日本のほうがずっと上だと思います。それをたとえば僕が死んだとするとうちの家内が「虫関係の人、一切お断り」そういうことにならないとも限りません。だから、生きてるうちに安心できるものを作りたいと思ってやってるんです。
 それとこれからの子供たちが思いっきり虫を採れる場所を作りたいと思ってやってるわけですけども、なかなか簡単には行きません。佐久のほかにも栃木県の茂木にも広い森があって、そこも「日本アンリファーブル会」にまかされることになっています。そして実際の指導は昆虫協会の梅田さん、柿沢さん、木村さんらがやっています。皆さんもぜひ協力して下さい。
そのうちどっかに立派な博物館ができたり、本当に思いっきり採集できる場所ができる。それが成功すればよそでも真似するようになるでしょう。テーマパークはあちらこちらで失敗してます。あんなに金をかけないでも里山は復活できるでしょう。昔のような自然の中で昆虫採集ができれば、と努力しています。

梅田: どうもありがとうございました。
 それでは、事務局からのお知らせです。今回のご案内2ページ目(前号ニュースレター24ページ参照)にありますとおり、2003年度運営スタッフは去年、一昨年とほとんど変わりません。昆虫協会はお金もありませんけど人手もなくて、誰か何か手伝ってくれる人は受け付けておりますので声をかけてください。ただし、提案した人が引っ張ってほかの人たちが手伝うというやりかたですので、提案者は本気でそれをやらないといけないことになっておりますので、その分、心して提案をお願いいたします。
 次に、資料の5ページ目(○ページ参照)にある会費値上げの件です。去年ここで提案して一応役員会での決議事項なのでそのままにしましたけれども、岡田副会長から「再度総会に諮っては」という提案がありましたので、今回ここで、採決したいと思います。値上げの理由としては5ページ(○ページ参照)に書いてあるとおりです。資料の3・4ページ(前号ニュースレター5ページ参照)目にあるとおり、単年度として60万円が赤字になります。会費収入を基本にやってきましたが、それではとても間に合わないので昆虫協会としても、いろいろ収益事業、本を出版とか、採集会、まあ採集会はそれほど黒字になりませんが。そのほかいろいろやっておりますが、なかなかお金も集まりませんし、どうしても赤字になってニュースレターの発行も遅れています。そこで、ここに書いてあるとおり、会員一人1,000円値上げ、会員だけに負担増を願うのは心苦しいので、理事会員、監事会員等は2,000円値上げ、ということで提案をしたいと思います。値上げに関して何かご意見のある方いらっしゃいますか。

会場: 支出の項目がですね、内容はよくわからないんですけども、中には金額が特に大きなものありますけれども、賃貸料ってのは何ですか?

梅田: これは事務所の賃貸料です。

会場: 事務所は東京にあるんでしょう。事務所が東京になければならない理由はあるんですか。

梅田:  これは、日本蝶類学会と折半にしてますので。

会場: そうすると、たとえば、安い田舎に引っ越してね、インターネットでも何でも使って、できるんじゃないですか。行く人は自腹を切っていくんです。そういう風にしないと、まあ値上げしてもいいんですけども、会員の減少につながっているのもね、やはり、子供さんや若い人の負担が大きくなり過ぎると言うことも考えたいと思うんですけどね。そうしないと平均年齢が高齢化進んでいますので、ジリ貧になっちゃうような気がするので、一つその支出を切り詰めて、何も東京にいなくてもと私は思うんです。

梅田: ただ、役員がほとんど東京なので、集まりやすいとか、そういうことで東京の事務所になってしまいますね。後、日本蝶類学会と事務員の人件費、事務所の賃貸を折半。これ、金額半分になっているんで、東京以外のところに事務員を置いて事務所を借りるとなると、その分が蝶類学会と半額にできなくなりますから、かえって高くなると思うんですよ。

会場: 蝶類学会と一緒に引っ越したら…(笑い)

梅田: 去年蝶類学会もちで新しい広い事務所に引っ越したので、それはなかなかできないと思います。最近は東京もかなり安くなっていますし、今の事務所も、広さに比べたら安い事務所なんですね。今年、あとでお話しようと思ったんですが、展翅教室とか飼育教室もできるスペースになっていますので、夏休みにそれをやりたいと思います。で、やはり集まりやすいのは東京ということになってしまいますので、その辺も加味して東京に置いておきたいと思います。

奥本: では、もし安いところがあれば教えていただいては。

梅田: 何かほかにございますか。

会場: 出版の項目は何ですか。

梅田: これはニュースレターの印刷費、郵送費、デザイン費すべて含んでおります。ちょっとわかりにくいと思いますけれども、いわゆる会の運営費みたいなものはすべてここに入っております。最後にしようと思ったんですけれども決算のほうを先にご説明いたします。
 会費収入、これは会員は去年と同じで1,000名弱です。出版等事業費、これは後ろのほうに会費外収入として書いてある、採集会、飼育教室関係、その他の収入ですね。寄付金収入というのがありますけれども、これは去年皆様にお渡ししたフィールド手帳。これを作ったときに寄付していただいた金額です。支出の項目で今おっしゃいましたけれども、一番大きい給料手当てと賃貸分ですね。これは専従の事務局員の給料ですけれども、日本蝶類学会と半額ずつ出し合っております。
 あと大きいところで、今言いました出版関係、これはニュースレターの印刷費など、一番大きいのは郵送費なんですね。どうしても一冊一人あたり190円かかってしまいますので、印刷費よりかえって郵送費のほうが大きくなってしまいました。ヤマト便とかいろいろ考えたんですけれどもどうしてもヤマト便ですと部数が少なくてやってくれない。書籍扱いだと年4回出さなくちゃいけない。定期刊行物として。で、どうしても合併号を作って年3回になってしまっているので、書籍扱いでの郵送もできない状態です。
そういうことで、収入5,338,649 円、支出5,948,112 円。609,463 円の赤字となっております。去年も約50万くらいの赤字で、だんだんと繰越金を食いつぶしている状態なのです。このままで行きますと、長引いても7〜8 年で繰越金がなくなってどうしても会の運営ができなくなってしまう状態なので、皆様にご負担いただいて、会費の値上げの提案となっております。何か決算のほうでご質問、ご意見ありましたら。
 なければ、値上げに関して決を採りたいと思います。それでは拍手を持って賛同の方お願いいたします。(拍手)
 ありがとうございます。それでは来年度からの会費は、5ページ目(○ページ参照)にあるように理事・幹事会員12000 円、監事会員8000円、団体会員8000円、個人会員5000円、子供会員3000円で行きたいと思います。決算に関しては、監事の朝日さんが見えていますので、提案をお願いします。

朝日: こんにちは。幹事の朝日と申します。よろしくお願いします。
 通常ですね、こういう風に決算が出ている状態で監事が会計報告の意見を述べるとなりますと、いわゆる会計監査的な形で帳票・書類などを点検してそれで問題がないということで意見を言うんですが、今日の段階では仮の意見ということにさせていただきます。と申しますのは、皆さんへの通知が遅れていたということでご承知かと思いますが、私どものところに書類が非常に遅く着きまして、実は、十分に帳票類・書類の突合せをしておりません。
 それで、実は私職業は弁護士なんですけれども、もう一人の檜山さんという方、この方は税理士です。それで、明日が確定申告の期限で、お忙しい真っ盛りということで、今日も出席されていませんし、一週間前にそういう書類が着いても物理的に無理なものですから、私が代表としてお知らせさせていただきます。
 一応私のところにはですね、帳票類の主なものの写しと、決算報告書というものが届いております。皆さんのお手元にある資料のとおりです。それは、この団体はいわゆる営利法人というものではないので、果たしてそういう決算報告書というものが営利法人方式で書かれているのが正しいかどうかという問題が根本的にあるんですけども、一応現金の出納状況ですね、入金と出金の状況を見て、それにおかしなところがあるかどうかということ。
 この件に関しましては、私の今の意見としては特に不正な出金・入金が記帳漏れになっているとかそういうところはないと。したがって、適法意見を出せるであろうと、こういう仮の意見であります。
 あとですね、この会が終わってからあと、というか3月中に檜山監事のほうも時間ができますので今、私が問題を提起しましたような営利法人の決算報告を作るような形で経理内容の書類の仕方が果たしてこの団体に馴染むのかどうかということも含めてですね、具体的な昆虫協会にふさわしい会計の準則というものを確認して、来年からもっと判りやすい決算および意見の解説とさせていただきたいと思っております。とりあえずそういうことで私からの報告とさせていただきます。

梅田: 続いて各委員からの報告です。
 まず、私が委員長をかねている子供委員会からの報告です。新しいニュースレター、今月中にもお手元に届くはずですが、そこに採集会の報告に関しては書いてありますのでそちらを読んでください。去年、天候不順で前の日まで雨で中止のはずが当日になって急に晴れになってやらなくちゃいけなくなってあわてていったら、参加者が二人しかいなかったとか、反対に夏の昆虫採集でクワガタがたくさん採れると書いたところ、75名近くと大量に押し寄せてしまった大変な採集会もありました。
 昨年、事務所が新しくなり落ち着いたので、夏休みに展翅教室、飼育教室を開きたいと思いますので、そのほうのスタッフも募集しております。ただ展翅教室というのはものすごく大変でマンツーマンで教えるような形になるんですね。今までやった方がもう俺はやりたくないという方がほとんどで。まあ手伝っていただける方もかなり覚悟していらっしゃってください。
続いて、岡田先生から広報普及委員会の報告です。お願いします。

岡田: 皆さんこんにちは。岡田です。
 広報普及委員からご報告させていただきます。昨年の総会で話題になったことなんですけれども、新聞などで1,500m 以上の高山帯のチョウの採集が規制されるというような報道がありました。そのことに関して昨年の総会の翌日ですね、やはり会員で私と同じ名前の岡田さん、岡田秀紀さん、この方はチョウと国会議員や省庁に詳しい方なんですけども、この人と一緒に急遽環境省に行き、国立公園課の課長、計画第一係長と会って、新聞記事について色々伺ってきました。それによると「新聞報道は二つの法案がごっちゃに公表されていて、大変わかりにくくなっている。一つは生物多様性国家戦略(案)、もう一つは自然公園法の一部を改正するという法律案を審議するというこの二つが新聞にはごっちゃに載って解りにくかった」と言っていました。このことについては実は昨年の6月に出ましたニュースレター49・50合併号に書きましたのでそれをご覧いただければ詳しく書いてありますが、要点だけ申し上げますと、国立公園には特別保護地区と特別地区と普通地区とがあります。現在は特別保護地区だけは動・植物すべて採集禁止であります。が、それ以外の特別地区や普通地区では全く問題がありませんでした。今後はそういう所でも、環境大臣が定めた種は採集禁止にできるというようなことなんですね。「ただし、その種というのは高山植物などではかなりリストアップされているけれども、動物、特に昆虫に関してはまだほとんど決まっていない。これはレッドデータなどの資料を参考にしてこれから決めるんだ」ということでした。私どもは「それを決めるときは日本昆虫協会の意見も聞いてください」と再三お願いしてまいりました。
 その結果、岡野さんが昆虫協会に興味を示し、昨年7月末でしたか「昆虫協会の方々と話し合いをしたい」と連絡があり、事務局を訪ねてきてくれました。それでこちらからは奥本会長はじめ役員の方々が集まって懇談を開きました。そのあと懇親会となり、まあ色々と有意義な話し合いとなりました。それで多少、希望が持てるかなと思ったんですが、12月の1日でしたか、「日本自然保護協会」の役員である横山さんという方から会いたいという連絡があって私と自然保護委員の松香さんと話し合いました。結局そのときはわれわれの希望を述べることで終わったのです。その結果、松香さんのほうに連絡があったんですが、どうも昆虫協会は種の選定のメンバーからは外されたらしい、ということを聞きました。大変残念なことなんですが。これについてはまたわれわれは環境省に要望書を出してみようと思っております。
 それ以外の広報普及関係の主だったことをご報告させていただきます。
 4月10日旺文社から『必ず見つかる昆虫ナビ図鑑』を日本昆虫協会から推薦してほしいという依頼があって、これは奥本会長に推薦文を書いていただきました。その謝礼が9万円、協会の収入となりました。ありがとうございます。6月の3日、塩猫忍さんからサイトへのリンクの依頼があって、これは、木村編集委員長が画像を含めた収録の協力をしてくださいました。6月7日に大野城市青少年センターという所から「夏休み昆虫教室」の講師紹介依頼が入り、これは松香さんを通して講師を紹介しました。6月22日、国際花と緑の博覧会記念連協会という所から「集まれ昆虫好きな子供たち2002」というのがありまして、これは奥本会長がやってくださいました。7月2日に日本テレビの「所さんの目がテン」という番組から撮影協力依頼がきまして、これは自然保護委員長の川上さんが撮影に同行してくれました。7月16日に東京新聞広報部から「昆虫のブラックバス化」に関する問題という質問がありまして、これは松香さんが答えてくれました。同じく7月10日、やはり東京新聞編集部から『昆虫採集フィールド手帳』の取材がありました。これはやはり松香さんが中心になって昨年作って大変好評だったものです。皆さんにもお配りしたと思います。その取材は松香さんが対応してくれました。8月5日、NHK ラジオ「おしゃべりクイズ・疑問の館」、これは川上さんが出演してくれました。8月17日テレビ東京「なんでも鑑定団」鑑定士出演依頼。これは私が出ました。10月に2回ほど放映されたのでご覧いただいた方もあるのではないかと思います。もとシブガキ隊の布川さんが昆虫が好きで、コレクションしている昆虫の標本が出るというので行って見たんですが、出てきたものはタランチュラ、クモでありまして非常に面食らいました。私は「これは昆虫じゃないじゃないか」と言ったんですが、そういう所はすべてカットされて、ほんのちょっぴりコメントしたところだけが放映されました。(苦笑)9月25日信濃毎日新聞信濃版支局から「山と向き合う」の取材、高山蝶採集企画というのがあり、松香さんが応じてくれました。10月3日、「子供の科学」の編集部から「科学の質問箱」の回答原稿依頼。これは鈴木さん。さなぎは成虫になるまでの間、中でどのようになっているのでしょうかという質問に答えていただきました。
 大体以上で広報からの報告を終わらせていただきます。

梅田: 続いて自然保護委員会ですけれども、今日は川上委員長が休みなので、松香さんからお願いします。

松香: 初めまして、松香といいます。
 自然保護委員会だけじゃなくて編集委員会も委員長の木村さんが所用で来れないということで副委員長の私が一緒に説明させていただきます。
 まず編集委員会のほうですけれども、去年やった仕事といいますと、ニュースレターは4号、ただし1回合併号がありますので皆さんには3回送りました。「蟲と自然」は発行されませんでしたが、その代わりにということで「昆虫採集フィールド手帳」を作りました。これは先ほども岡田さんから話が出ましたけれども、東京新聞の記事にもなった珍しいケースなんですが、現在まで会員外で157冊売れております。大した数ではありませんけれども、内容が内容だけに、皆さん必要だと思って買われていると思います。
 それからHPです。担当の高波さんから報告を受けております。まずHPのアクセス数は「カウントはしていない」と言っていましたが、大体4,000回から5,000回だろうということです。もちろんダブって一回でもクリックしちゃうとカウントされちゃうので実際にはそんなにはないと言っていました。それから、HPの更新回数は、去年は4回です。これはニュースレターの発行回数と同じになっております。基本的には採集会のお知らせに重点を置いて、あとはニュースレターに載った重要な記事を抜粋して載せています。HPの反応はそれほど来てないそうですが、HPを見て日本昆虫協会のことを知り、そこから入会されるようなケースもあるというようなことでした。質問に対して掲示板というのがあるんですけれども、そこでは常連サンもいるような雰囲気です。ただし内容的には、たいしたことが書いてないと。これは高波さんの考え方ですけども、充実を図って会員同志がうまく結び付けられるようなことになればということを提案しております。以上で編集委員会の報告は終わりです。
 次が自然保護委員会の報告です。今も言いましたけれど、昆虫採集フィールド手帳の作成は自然保護委員会の仕事で、実際に作るのは編集委員会、それを広めるのが広報普及委員会という複雑な過程をとってます。自然保護委員会の本当の仕事は法令等を研究して、それを実際に皆さんが使えるようにするのが仕事であるわけで、採集禁止、禁止地域をかなり徹底的に調べました。でももちろん抜けているところとかもあるし、実際に地図がないので「じゃあどこの場所だ」といわれても困ることもあるような状態でもあります。実際に行く人にとってはまだ中途半端な問題があるのです。次号のニュースレターに載りますけれども、一人提案者がいまして、そういうのをちゃんと見られるようにしてほしいというので、昆虫協会から岡田さんの名前で「環境省に地図つきで全部公開してほしい」という要望書をつい先日送ったばかりです。
 それから、去年一番問題になったのは長野県の問題ですね。ニュースレターに載りましたけれども、レンジャーが非常にめちゃくちゃなやり方で採集者を追求して怒るということに対して「もうちょっとレンジャーの質を高めてほしい」という要望書を去年長野県に出したんです。その後の経過なんですけども、今年の 2月6日にそれに関係したペンション・ファーブルの山本さんが自然公園研修会という会に出席しました。その中でちょっと興味深いところがあったのでちょっとお知らせします。聴いている人は自然保護レンジャーです。長野県側からの指摘だったんですけども、レンジャーに与えられる法的な権限は、自然公園の適正利用の指導を行うためであり、くれぐれも指導を行うという任務から逸脱しないようにと発言がありました。怒ったりするのは任務ではない、と言うことを明確に皆さんの前でしゃべっており、ということは私たちが監督官庁に要望書などを出すのは多少意味があったんだと思っております。
 それから、最近問題になっていること、これは、岡田さんから今だいぶ詳しい話が出ましたけれども、去年の11月19日に環境省のHPに載った文章があるんです。で、これは先ほどの高山蝶、1,500m 以上みたいな話の内容なんですけれども、それを見ますと、特に個体数が少なくて採集によってさらに減少すると思われる高山蝶などを指定したいと、まあ言葉はあいまいにしていますけれども、指定したいみたいなことを公に出しています。これをこのまま放っておきますと非常に問題がおきる。というのは僕は2つ問題があると思うんです。これは「昆虫の採集禁止種をもっとたくさん作ろうという風な国の思想である」と。もうひとつは「昆虫は採集によって減るということが国のお墨付きになる」ということなんですね。ところが、昆虫が採集によって減るかというのはまだ誰も検討したことがない。実際に調べたことがないと我々は見ているわけです。だからもしも、こういう風な理由をつけて提案するならばそれを環境省のほうでちゃんとした証明を見せなければいけないんじゃないかと、いうようなことを考えながら今環境省に対して要望書の原案を作っているところです。これはメンバーに読んでもらって、なるべく即急に送りたいと思っております。
 それから発足当時、日本昆虫協会が何を活動のテーマにしてきたかといいますと、一番重要なのは、要するに「虫屋は社会の敵」というイメージを崩したかった。「昆虫採集は悪いことではない」と。それは基本的にはマスコミに対しての圧力だったんです。全く無くなったとは言いませんけども、だいぶ減った。最近になって、さっき言いました昆虫を採るのと保護するという関係(注:国や県が条例等を作るという問題)ですね、これがちょっと問題が起きてきたのかなと。それは鹿児島県や福島県でもそういうことがあるらしいんです。もっと前には、長野県などは種を決めてすでにやっているわけですしね。もしも国が自然公園法の改正によって高山蝶を採集禁止にするということに決まってしまうと、ほかの県、ほかの公園もいっせいになるだろうと。ここで何らかの主張をして……、主張するといっても単に主張しても意味がないわけです。ちゃんと保護したいなら保護するような気持ちで保護して欲しいと。昆虫採集だけを取り締まっておいて環境はほったらかしでは納得できないわけですね。
 そういうわけで、これまではマスコミが多かったのに対して、今度は国や県とかになるわけです。ちょっと内容が複雑でやりづらく、これまでの単純なやり方では対抗できないような状況が始まったということは感じております。
 で、もう一つなんですけれども、外国産の昆虫の輸入です。これに対して今規制が始まりそうだという情報も出たりしているわけです。これも次号ニュースレター(注:既報)で取り上げますけども、もっと積極的に昆虫の輸入禁止を訴えなさいという意見が2件程ありました。昆虫協会としてはどういう立場でそれをやるかという話ですが、非常に難しいのは昆虫協会の中でもみな違う意見を持っています。ですが、絶対禁止みたいな考えが一般的です。なぜならばこれは生物多様性戦略という指針がありまして、それに乗っかった話なんですね。だから研究者とかは絶対禁止という方向で多分流れるのではないかと思います。
 じゃあもうちょっとゆるくして、日本にとって脅威になるようなものは輸入は認めないようにするというやり方もなくはない(注:熱帯系は日本では生きていけないので輸入しても良い……というような)。日本に入れてはいけないものを種によって規制していこうというのが二つ目。今は少なくとも植物防疫法で昆虫は植物にとって害があるといって防波堤になっていたんですが、トリバネチョウを許可するかしないかで今問題になっております(注:植物防疫法では許可される可能性がある)。
 もう一つ、これは次のニュースレター(前号で既報)に大野義昭さんが書いたのが載っていますけれども、自然というのは要するにそうやってごちゃ混ぜになっていって初めて自然。だから人間が勝手に入れるなとか入れるとか言う話じゃないと。人間も自然の中の一部ならばその人間の動きによって虫が入ったり出たりしてしまうのも自然じゃないか、というような考えだから一切禁止する必要はないという考えもあるわけです。それらをどうみるかはちょっとわかりませんけれども、いろんなものがあるということを認識しながら、もう少し考えてみようかというところにあります。

梅田: これで事務局からの報告を終わります。

(日昆協ニュースレター第54号、2003年6月掲載)

● 2001年度総会議事録(抜粋)

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