| Japan Insect Association | |
〒113-0022 東京都文京区千駄木5-46-6ファーブル昆虫館「虫の詩人の館」内 |
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2001年度日本昆虫協会総会議事(抜粋)梅田:これより2001年度日本昆虫協会総会を開きます。初めに本協会会長の奥本大三郎氏より挨拶と議長の選出をお願いいたします。 奥本:今回で昆虫協会の総会も12回目になりました。ところが不景気な話で申し訳ないのですが、昆虫協会の会員が減っているのです。この会の仕事というか、活動の効果はずいぶんあると思うのです。たとえば、採集地でのことですが、NPOの人たちが腕章を巻いて、環境省の権威をカサに着て、補虫網を持って歩いている人たちを怒鳴りつけるとか偉そうにいったりすると、皆、嫌になってしまって昆虫採集などしなくなってくるような気がするのです。そういうことが毎日の新聞に出ています。 こういう記事が出たとき、すぐに新聞社に抗議文を送ったり、環境省に質問をするのも昆虫協会のひとつの役割です。まともにモノをいう人がいなければ、こういうことはスルスルと進んでいってしまいます。ところが、昆虫協会に入った人は『昆虫協会は何もしてくれない』といいます。それはどうも「採集ポイントを教えてくれない」とか「虫屋としての実益がない」ということらしいのです。 そういうことで昆虫協会を辞めていったりする人がいます。そうなりますと昆虫協会の財政が苦しくなって、十分な活動が出来なくなります。よく「外交は票にならない」と言いますが、そういう意味では昆虫協会の活動自体が票になりにくいのです。 田中真紀子外務大臣が更迭されました。あの時に一般の人の反応としては「真紀子さんは何も悪いことをしていないのに鈴木宗男と一緒にやめさせられたのは不公平だ」ということで内閣の支持率がガタッと落ちたりしました。一方で真紀子さんは、外務大臣としてどれだけの仕事をしたのか、ということもあるはずです。その外務大臣としての資質を問うとか、仕事をした、しないという点は支持率とは無関係にも見えます。「外交は票にならない」とはそういうことで、昆虫協会も同じようなものです。 会員数が減る、したがって財政状況が苦しくなる。そこでいきなり身近な話になるのですが、寄付をしていただける方があれば一番ありがたい。もちろん寄付だけでは面白くないということで、わたしが下手な色紙を書いてきました。夏休みの昆虫研究大賞に出品したら落選するかもしれない、その程度のものですが、立派な額に入れてきました。それを後で出しますから、寄付をしたと思って後で買っていただけると有り難いです。これ一枚で会費二人分になります。 そういう細かいものでもためていかないと苦しくなってきたというのが、昆虫協会の現状です。それについては後で説明があると思います。そういうことで「外交は票にならない」ので、昆虫協会も財政状況が苦しい、という話でした。 梅田:事務局長の梅田です。 最初に事務局からのお知らせです。 2月26日に役員会を開き、2002年度の運営スタッフ、決算報告とそれに伴う会費の変更、赤字解消を目的とした収益事業、事務所の移転、環境庁の中央環境審議会自然環境部会の答申「新生物多様性国家戦略」および「国立公園法改正」に対する対策を協議しました。 初めに2002年度の運営スタッフですが、前号のニュースレター48号23ページにある通りで、2001年度と変わりません。 協会の運営は専従の今村をのぞいて、すべてをボランティアでおこなっております。慢性的なスタッフ不足なので、昆虫協会のために役に立ちたいと言う奇特な方がいましたら是非申し出てください。できそうなことがありましたら、このあとの懇親会で各委員へお申し出ください。 事務所移転の件ですが、昆虫協会は日本蝶類学会と事務所、事務局員を共用しています。このたび蝶類学会が事務所を広く使いやすいところへ移転したいとの話があり、ついては移転に伴う引越し、敷金、礼金等はすべて蝶類学会のほうで支払うとのことなので同意しました。蝶類学会は3月3日に総会を開き移転を決定しましたので3月中に引越しをする予定です。 昆虫協会では規約25条3項で事務所の変更は役員会で決議することになっており、2月26日の役員会で決議されたのでここに報告いたします。 新しい事務所は豊島区の大塚駅から7〜8分のところです。オフィスビルの1階なので今までの2DKの住居形式の事務所より使いやすくなり、大人数が集まれるので、昆虫の飼育教室や展翅教室、採集会が雨のときの談話会など新しいこともやれると思います。 電話番号はまだ決まっていませんが、今までの番号にかければアナウンスされます。(編集部注:電話番号は変更がありませんでした。) 次に決算報告ですが、あとで会計の佐藤から詳しい報告をいたしますが、ここでは会費の変更の件を報告します。会費の値上げについては、規約改正と提案としましたが、規約32条1項で「会員は毎年12月末日までに、役員会の決定する次年度分の会費を前納しなければならない」とあり、役員会の決定事項なのでここでは決議を採らず、報告といたします。 値上げするにあたって協会での経費節減や収益事業など赤字解消の努力はいたしましたが、このままでは必要なこともできず、数年後には繰越金もなくなってしまう状態なのでやむなく値上げとなりました。ご理解をお願いいたします。(編集部注:その後、副会長からの再提案があって現行の会員制度を見直したのち、2004年度からの値上げを考えています。) 詳しい報告はこのあと佐藤がいたします。 最後に環境庁の自然環境部会の件ですが、ニュースレター48号の30ページ。東京新聞 2002年1月30日付けの記事に「これまで高山の特別地域では指定植物の採取は禁止されていかが、今回新たに標高1,500メートル以上の高山に生息する蝶の採取も規制。日本アルプスのミヤマモンキチョウ、タカネヒカゲなど絶滅の恐れのある約30種の蝶が指定される予定。」とあります。 自然保護委員長のほうから報告がありますが協会として抗議文を送るのはもちろん、各団体に呼びかけて署名を集めて送ることも検討しています。 いつから、どんな種類が、どこで規制されるのか環境省のホームページや役人に聞いて調べましたが細則はまだ決まっていないようです。こんな馬鹿な法律は作らせてはいけないのでみなさんにも情報提供、抗議文を環境庁に出す、ホームページに書き込む、署名を集めるなどご協力を求めます。 次に経理報告を佐藤からいたします。 佐藤:佐藤と申します。よろしくお願いいたします。協会ではニュースレターの編集をやっております。経理は専門家ではないので、パソコンに専用のソフトを入れて協会の費用などを集計しております。今年度は384,998円の単年度赤字決算となりました。 2001年12月31日現在の繰越金3,670,670円(前号ニュースレター48号24ページ参照)、これが現在協会にある去年までの繰越金です。単年度赤字ですとここから差し引かれていくことになります。最後の5,292,670円を見ますと、お金があるかのように思えますが、これは実は2002年度の会費収入の一部がすでに入ってきているためで、実際には3,670,670円が現在協会にある去年までの繰越金です。赤字が出ますと、ここから減っていきます。 そこで、赤字解消のために役員会で決定できるということなので、会費を大人、子供1,000円ずつ値上げをすることにしました。(編集部注:上記の会費値上げ問題を参照) 協会の活動は皆ボランティアでやっているのですが、少しは赤字の解消をしようと、その結果が「2001年度会費外収入」です。『採集・観察会』は皆さんに参加いただいている採集会のことで、その差引残高321,792円が収入です。『昆虫教室関係』というのは、千葉県環境財団の活動に環境教育プログラムというのがあって、昨年そこから私の所に依頼がきまして、採集会と昆虫教室を2回ぐらい開きました。そこで財団に実費の請求をしたもので、金額はわずかですが、協会にお金が入る形になっています。 冊子というのは、その時に財団のプログラム用にテキストのような冊子を作りました。初めは持ち出しで作ったのですが、昆虫展を開催する会社が買い取ってくれることになり、その差額が243,595円の収入になりました。トリバネチョウというのは松香さんの本が協会で売れた手数料です。そういう形で協会でも収益事業もやっています。48号のニュースレターに「赤字の解消に会員からのアイデアを募集してはどうか」という意見がありましたが、お読みになられた方はいらっしゃいますか? 今までの話でおわかりの通り、協会の活動は全部ボランティアですから、何かやろうとするとどうしても、その人の持ち出しの部分が出てきます。それをある程度覚悟してもらわないとできません。アイデアは戴くのですが、実際にやることを考えると軌道に乗らない。収益に関するアイデアを考えてくださる方がいらっしゃるのであれば、そこまで考えて提案していただくと助かります。 今年の収益事業の予定としては「昆虫採集教室」と「標本作成教室」に向けた小冊子を作ってくれという依頼が昆虫展を開催する会社からきていますので、今原稿を執筆してもらっています。これは3,000部を買い取ってもらうことになっていますので、ある程度の収入が期待できます。講師の依頼というのは千葉県環境財団のようなもので、「府中市郷土の森博物館」から7月末から8月の初旬にかけて実施の依頼がきています。出版物や昆虫展示会への協賛というのは催事や昆虫関係の出版物などに、推薦などの文字をパンフレットや本の帯などに入れる場合、協会に収入が入るようにしたものです。 そういう努力をやっています。それがないと単年度の赤字が100万円を超えてしまい、数年後には協会は活動停止になってしまいます。現状をご理解戴いて、新たなアイデアも含めてご提案下されば幸いです。【拍手】 梅田:次に自然保護委員長の川上から報告があります。 川上:自然保護委員長の川上です。お金がないという話に続いて暗い話で申し訳ないですが、先程会長から話が出ました環境省で進められている生物多様性国家戦略についての対応です。実はこれは6〜7年前に策定されたものの見直しです。あの時は細かい所まで詰められてはいませんでしたが、その見直しが今回行われた。 内容は今後生物の生息環境を国としてどのように保全していくかということですが、それに基づいて法律を制定したり施策を行うとしています。例えば立ち入り制限や高山蝶の採集禁止などもこの一環になっています。実は今、生物多様性国家戦略についてパブリックコメント(国民に意見を聞く)ということをやっている所です。 これについて6年前の時は、当協会から当時の環境庁に小岩屋さんや油井さんが出向きまして、かなり鋭く突っ込んだんです。それで嫌われたのか定かではありませんが、今回はそういうことをやっていることを全く知らせてこずに、たまたま自然保護関係の人から間違いメールが入って、そのことを知った次第です。それで時間がぎりぎりの話で、インターネットが使える方だけになりますが、例えば30種類の高山蝶の根拠はないのではないかとか、NPOに権威を与えるのはいかがなものかなど、一言でも発信していただければ反映されるのではないかと思います。6年前の策定の際は、かなり昆虫関係者から意見がきて、それで今回「うるさいから知らせるな」となったのかもしれませんが、手元に資料がなくてどのような進捗状況なのか説明のしようがありません。 一番問題なのは、今までのように気楽に昆虫採集ができなくなりそうなのです。今までの日本の自然というのは、使っていない所を拝借していた部分が大きいのです。雑木林は炭焼きに利用する以外には何も使っていなかった。そういう所で昆虫採集をやっていても、持ち主に利害関係がありませんでしたから、大目に見てもらえた。今度の国家戦略では、そういう自然が日本からなくなるということなんです。全部網がかかって、そこが何らかの戦略に取り込まれるのです。今まで利害関係のない所で自由にできた昆虫採集ができなくなる可能性が非常に高くなるのです。 一つ例を挙げますと、里山が今ブームで、NPOなどが手入れをして、そこに生息するギフチョウやオオムラサキなどに適した環境を整備する活動をしています。虫たちの保全に限っていえばいいことなんですが、それが行き過ぎますと里山のクラブ化が起こる。既にそうした傾向が起こっています。要するに里山を管理している人達が、そこを自分達のクラブにして、そうでない例えば虫屋などは排除する。そういう危険性が非常にあります。腕章をつけたのが大手を振って、虫屋を排除しにかかる。非常にそういう危険性は高い。事実ギフチョウなどでは、過激な表現をすればエコ・テロリスト的な方々が問答無用の排除を行っています。中にはこちらの質問には全く答えずに、ただその場所で大暴れして我々の採集を邪魔するのまでいる。そういう気狂いじみたのに御墨付きを与えるということがどれ程恐ろしいかは、火を見るより明らかです。 昆虫協会は最初の頃から「アマチュアがコレクションした昆虫標本の受け皿としての自然史博物館」を作ろうと主張しています。それとどうつながるかはまだはっきりしませんが、環境省の生物多様性センターという組織が富士宮にあってそこにデータを集めるらしいのです。我々が考えている自然史博物館的なものとは異なり、国家データとしてそこに標本を集積して自然史博物館は作らずとも良い。そこで国の政策に合わせたデータとして国家の方針として利用しようとしているのではないか。それから国家戦略ではモニタリングを充実させようとしている。自然が今どういう状態にあるか、そこにどういう生物がそこに生息しているかを重視させようとうたってはいるのですが、具体策は見えてこない。それについては昆虫は全生物の 90%近くを占めている。アマチュア研究家のデータはモニタリングには役に立つと思うのですが、一方でそういう形の排除が行われるのであれば、モニタリングが果たして役に立つのかという疑問もあります。この件については私も熟読していませんし考えの至らない点もあります。今日懇親会でいい気持ちになって、帰った後でインターネットというのはきついとは思いますが、ぜひ日本の昆虫採集の未来のためにお手伝いいただければと思います。【拍手】 ■懇親会の模様 青木一宰 「ラオスとミャンマー蝶とりの旅」と題する小岩屋敏理事の特別講演が終わると、会場のセッティングをがらりと変えて、皆さんお待ちかねの懇親会のスタートです。一旦、皆さんには会場の外に出ていただき、机や椅子を並べ変えたりしたのですが、多くの方がスタッフのお手伝いをしてくださり、助かりました。 やくみつる理事の「昆虫協会幻の理事」「総会の偶産種」という自己紹介とともに、乾杯の発声。挨拶のなかで、昆虫協会は昆虫少年少女のためにあると語っていたのが印象的でした。 懇談の最中も(本当はセッティングの頃から?)、会員の皆さんの気持ちはビンゴの景品にいっているようで、景品の標本や飼育材料、書籍などが並んだテーブルの上に熱い視線が……。 一方、今回はじめての企画なのですが、売上を昆虫協会に寄付するということで、標本や書籍などのチャリティー・コーナーも設けました。昆虫協会の台所事情を察してくれた会員の方々が、奥本会長、岡田副会長、やく理事などのサイン本もなどをはじめとする出品物をお買い上げくださいました。展示用の標本箱一箱丸ごとお買い上げくださった豪気な方もいらっしゃいました。ありがとうございます。 さて、懇親会の目玉です。ここは何気なく書きますが、『新婚ホヤホヤ』の梅田事務局長の奥様にビンゴを回してもらい、かつての子供会員いまや若手スタッフの諸氏に助けられ、ビンゴが始まりました! 栄光のファーストビンゴを射止めたのは、吉水さん。ずらりと並んだ賞品の中から選んだのは、グランディスオオクワガタ(生き虫)でした。続いて、ビンゴの運営も手伝ってくれた岩崎(兄)さんが、渋いところでニシキツバメをCheck it! 三番手は川井さんで、珍シジミのセットを選びました。 今回はなぜか昆虫協会のスタッフが、揃って早めにビンゴ! 奥本会長はオオイチモンジの標本を片手にご満悦。岡田副会長はオオゴマシジミと、なかなかいい標本を手にしていました。が、川上理事はバヨネットを握り「これいいねえ」。畳めない口径50センチのネットを持って、花粉症のためマスクとサングラスで完全武装の姿で、あきるの市まで電車で帰りました。車中ではきっとヘンな人に思われたに違いありません(笑)。 参加者の数より多めに賞品は用意しておくので、余るんですね、多少の標本が……。片付けようとするスタッフに再び熱い視線。今年はオークション形式で標本を分けるのは止めようと、チャリティー・コーナーを作ったはずなのですが、残りものには福があるのでしょうか? 結局、チャリティー・オークションになってしまいました(笑)。今回は、ワタナベアゲハなどの標本で、〆て\21,000-のオークションになりました。この売上は、すべて昆虫協会に寄付されました。ありがとうございました。 最後になってしまいましたが、いつもいつも、さまざまな賞品などを提供くださる、エルアイエス、むし社、蝶屋、カロラータ、第一看板工芸(順不同)の各位に、厚くお礼申し上げます。 (日昆協ニュースレター第49・50号、2002年6月掲載) |