日本昆虫協会
にほんこんちゅうきょうかい Japan Insect Association

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「昆虫採集フィールド手帳」発刊のお知らせ

「昆虫採集をとがめられた時の対処策」と「採集禁止条例」をまとめた小冊子

松香 宏隆



 「国内での採集禁止条例等の一覧を、ぜひ作成してください」というお便りがありました。採集禁止条例一覧は当協会にとって基礎的な資料としてなくてはならないものです。しかし、4、5年前に作成を試みたのですが、複雑な行政の仕組みのため途中で断念した経緯があります。

 昨年、虫の週刊誌(ツーイーソー)に「採集地における監視、取締まりについて」と言う記事が載りました。おそらく冗談半分だったと思うのですが、フィールドで怒られた時に役立つ手帳を日本昆虫協会のような会が作ったら……とありました。おもしろいアイデアと考え、作者の麻生のりあき氏に協力を頼みました。また、一旦は断念していた採集禁止条例一覧も作らなければ片手落ちとなります。なぜなら、禁止地域が事前に解っていればトラブルを減らすことが出来ると思うからです。

その方面に詳しい芳賀馨氏に協力依頼をし、「フィールド手帳」の制作が1年前に始まったわけです。最終的には日本昆虫協会の考えに反対の方にも原稿を見てもらいました。考えや自然観の相違は別として、言葉の使い方で起きる無意味な論争をしても意味がありません。

 フィールド手帳は野外に持っていくことを前提にしており、小型(A6判)でビニールカバーをつけて破損しにくいようにしてあります。野外に携行する場合には日本昆虫協会の会員証も一緒にお持ち下さい。このフィールド手帳は市販もしますが、「蟲と自然」誌の代わりとして作りましたので会員は無料です。

●内容の紹介

1)昆虫採集をとがめられた時の対処方法
 フィールド手帳は基本的に法律上の解釈を元にしてありますが、法律で決められてなければ何をやっても良いという意味ではありません。なるべくトラブルにならないようにすることが一番大切なのです。しかし、あまりにも一方的に非難された場合にはこのフィールド手帳が役立つと考えています。
 実際にトラブルが起きた時に役立つように、相手とのやりとりを想定して作ってあります。言葉遣いは丁寧語になっていますが、実際には自分の言葉で良いでしょう。

2)各種の採集禁止条例
 複雑で多岐に渡る行政の取り決めを理解することは非常に困難と言えます。昆虫採集禁止の法律は国レベルで環境省・文化庁・林野庁が関係し、その下には県・市・町・村があります。各省庁の横関係、国から村までの縦関係の連携は極めて悪く、例えば村の規制を県が把握していないのが現実です。つまり、国や県等の広報の肩代わりをしたのがこのフィールド手帳と言えます。しかし、全ての情報を把握できているわけではありませんので、皆さんからの情報をお待ちしています。

3)日本昆虫協会の考え
 フィールド手帳は繰り返し読まれる可能性があることを考えて、日本昆虫協会の考えも書いてあります。一般的に昆虫を守る方法には「採集禁止=昆虫は守られる」という解釈があります。しかし、当協会では「環境を守る=昆虫は守られる」と考えており、自然への解釈の仕方が全く違います。地域的には採集禁止が必要な昆虫もいるとは思いますが、ほとんどは環境を守れば解決します。採集禁止で昆虫が守られると考えるのは、幻想に過ぎないと思えます。何故、幻想なのかはフィールド手帳をお読みください。
 また、やり過ぎの採集家への問題は簡単には解決出来ません。すでに考えが固まった人たちにルールを説明しても理解してもらえない場合が多いのです。しかし、これから育つ人たちにはフィールドマナーを理解して貰い、採集によって得られる「自然への理解度」を深めて頂きたいと考えています。

(日昆協ニュースレター第49・50号、2002年6月掲載)



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